ピースボート

【中卒が歩いた世界】アテネのパルテノン神殿で知ったギリシャ人の誇り


これは僕が、人生で3回目のギリシャのアテネを訪れたときの話です。

そのときに人生でもっとも大切な教訓の1つを教えられました
「世界をなめるなよ。」
って。

今回は”今”から役に立つ話ではありませんが、豊かに生きていく上で大切にしてきたいお話です。

世界に飽き?

2012年の春。
ピースボートスタッフになって2年目の僕は、同年8月に出発する自身にとって3回目の世界一周に向けて準備を進めていました。

>>ピースボートってなに?

ピースボートスタッフとしてはまだまだ新米でしたが、これまで世界を2周、約30カ国ほど訪れていました。

また今回の旅では1カ国を除き訪れたことがある国ばかりでした。

ですので、現地の情報など知っていることが多く世界一周に対する準備は万端でした。

しかし、1つだけ準備関係で迷っていたことがありました。
それは『カメラを買うかどうか。』

当時からiPhoneなどスマードフォンは普及していましたが、どのスマートフォンも付いているカメラの性能は低く、満足に世界の絶景を収められるクオリティではありませんでした。

僕も愛用のカメラを持っており、これまで旅を共にしてきましたが、年季が入りすぎたのかエジプトの砂埃が入りすぎたのかで壊れていました。

なので、今回の旅で新調しようか迷っていたのです。

『世界一周に行くのに、カメラを買うのを迷うとはどういうことか。』
気持ちはわかりますが、当時は常時金欠だったため、安くないカメラを買うかケチっていたのです。

今回の旅では、ほとんどが行ったことある国や世界遺産ばかりだったので、「持っていかなくてもいいのではないか。」と考えていたのです。

人生3度目のアテネ

結局、棚に並んでいる『現品のみ激安』のカメラを購入し、人生3回目の世界一周がスタートしました。

ベトナム、シンガポール、インドと順調に旅は進み、ギリシャのピレウスに到着しました。
ギリシャは、地中海と紅海をつなぐ世界二大運河スエズ運河を地中海側に出たすぐのところにありますので、世界でも有数の港町があるため、ピースボートでも毎回のように寄港(国に入る)していました。

ですから、僕はギリシャのピレウスも3回目。
またピレウスから車で20分ほどの位置にあるギリシャの首都アテネも3回目でした。

危機真っ只中のギリシャ

僕たちがギリシャ到着した時。
ギリシャはある問題を抱えていました。
それは『ギリシャ危機』と呼ばれ、世界中の注目がギリシャに注がれていました。

ここで、中卒でもわかる『ギリシャ危機』2分説明です。

  1. ギリシャは2009年の選挙で、これまでと異なるチーム(政党)がリーダー(政権)に選ばれます。
  2. 新リーダーは、頑張ってギリシャを盛り上げるために、いろいろと調べていくうちに
    「あれ?前のチーム言ってたよりギリシャの借金額、多くね?」となり、これまで発表していたより3倍の借金があることを知りました。
  3. また、借金の返済期限がすぐ近くに迫っていたため、このままでは破産になることを知ります。
  4. ギリシャは急いで、所属しているチームヨーロッパ(EU)に借金のことを相談します。
  5. すると、EUは「お金を貸すかわりに節約しなさい。」と条件付きでお金を貸し、ギリシャはなんとか破産をまぬがれます
  6. 実はギリシャ人は節約が大の苦手。ですが「破産するよりマシやな。」と考え、みんなで力合わせて節約します。
  7. 数ヶ月が過ぎ「ギリシャ頑張ってるなー。」と思ってた矢先、節約大っ嫌いなギリシャ人はついに「こんなことやってられっかー!!」と怒り、仕事を投げ出し「節約なんかやめや!!」と暴れます。
  8. ギリシャ人の怒りは収まらず、ついには「節約なんかせんでええ!!」と言うチームが現れ、新しいリーダーに選ばれます。
  9. お金を貸すかわりに節約する約束をしていたEUは「節約せな借金返せへんやん。」と言いますが、新しいギリシャのリーダーは一歩も引きません。
    ついに「節約するぐらいやったらチームヨーロッパ(EU)やめたるわー!!」と逆ギレ。
  10. しかし、お金がないギリシャは2回目の借金返済期限を迎えます。
  11. 新リーダーは「借金なんか返しまへん。」とスパークします。
  12. ギリシャの面白いところはここからで「借金の返済も節約もしまへん!」と言うのに「チームヨーロッパは仲良くやっていきましょね。」と。
  13. 「どないなってんねん!!」とチームヨーロッパはツッコミますが、ギリシャは「まあまあ落ち着いて。」と半笑いで結局もう一回チームヨーロッパからお金を借りて借金返済しました。
  14. 『てへぺろ』状態になったギリシャは「ぼちぼち節約頑張ります!」と約束し、この話はちゃんちゃん、となりました。

この吉本新喜劇みたいな流れが『ギリシャ危機』です。
一言で表すなら『世界的企業のギリシャが倒産しかけたことによるヨーロッパを中心とした世界的パニック』かな。

この一連の流れの中でもNo.7節約大っ嫌いなギリシャ人はついに「こんなことやってられっかー!!」と怒り、仕事を投げ出し「節約なんかやめや!!」と暴れている。』時期が最も危ない時期と言われており、街中では節約反対のデモが活発に行われていました。
”デモ”と言っても、それはそれは激しいものです。

そんなNo.7の真っ只中の時期に、僕は3回目のギリシャに到着しました。
※訪れている時期にデモは予定されておらず、治安的にも問題なかったです。

現地ガイド付きツアー

ピースボートでは、国に到着後は大きく分けると2つの行動パターンに分かれます。

  1. 自由行動
  2. オプショナルツアーへの参加

ギリシャは見所が多いため、ツアーが約10以上ありました。

しかし、そのほとんどのツアーで”ある場所”を訪れます。
それは、アテネにある『世界遺産パルテノン神殿』です。

パルテノン神殿は、アテネのど真ん中にあるアクロポリスの丘の上にあり、”ギリシャの象徴”と言っても過言でない建物です。

僕たちスタッフはお客さんのケアのためツアーに同行するので、僕は人生3度目のパルテノン神殿を訪れることになりました。
それもはじめて現地人のガイド付きです。

ギリシャ人の誇り

現地ガイドはソフィアさん女性です。
現地ガイドはクセが強い人が多いですが、ソフィアさんは愛想が抜群に良くで、知識も豊富で私たちの質問になんでも答えてくれます。

ただ、質問の大半はギリシャ危機に関することでした。
ソフィアさんは嫌な顔1つもせず、ギリシャ危機を説明してくださり、お客さんも大満足の様子でした。

そして、ツアーは順調に進み、ついに皆さんが楽しみにしていたパルテノン神殿です。

正直僕はこれまで2回も訪れたことがある上に、神殿まで丘を歩いて登る歩道がツルツルの石で歩きにくい&神殿は年中工事しているため、心の中ではパルテノン神殿を欲しがっていませんでした。

しかし、仕事ですから笑顔で丘を登ります。

約10分ほど丘を登り、神殿に到着するとソフィアさんはお客さんに、神殿に描かれている模様などの説明をはじめました。

僕も「ふむふむ。」と聞いていました。
ソフィアさんの説明が終わりに差し掛かり、当初から予定していた丘の上での30分ほどの自由行動の準備をはじめました。

そしてソフィアさんは説明の最後にこう言いました。

「パルテノン神殿は私たちギリシャ人の誇りです。」

それは静かに、そして誇りに満ちた言い方でした。

誇りとは

ツアーの終盤。
バスの中で質問コーナーをもうけました。

僕は、ソフィアさんがパルテノン神殿の説明で最後に言った

「パルテノン神殿は私たちギリシャ人の誇りです。」
という言葉が引っかかっていたため、聞こうと考えていました。
しかし、これは質問一発目の答えですべて解決しました。

その質問は
「ギリシャは危機(お金がない)なのに、なぜパルテノン神殿は大理石を使って工事しているのか。大理石ではなく、ぽい石でもいいんじゃないのか。」

パルテノン神殿は2500年前に作られ、以降ずっと雨風にさらされているため老朽化が激しく、ずっと工事をしています。
それも結構な規模とお金をかけて工事しています。

質問をしたお客さんは純粋な質問で決して見下している感じではありませんでした。
なのでソフィアさんも丁寧に答えていただけました。

「ギリシャにお金がないのはとても理解しています。
また、パルテノン神殿は大理石ではなく安価なもので代用しよう、ということも話されてきました。
しかし、誰もがその提案を“YES”とは言いません。
そして、必ずこう言います『パルテノン神殿のためならどんな節約も納税も受け入れる。』と。
パルテノン神殿はギリシャ人の誇りなのです。」

この言葉通り、政府が節税のためにパルテノン神殿の工事の予算を下げようとすると、それに反対するデモが起きるそうです。
そして、その反動として他の節約を受け入れるそうです。

僕は頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けました。

世界をなめるなよ

世界一周出発前にカメラを買おうかどうか迷っていたとき、心のどこかで『世界を知ってる感』がありました。
「何回も行ったから写真を撮る必要がないかも。」って。

しかし3回もギリシャを、パルテノン神殿を訪れてもまだ知らないことがあり、世界に

「おい、世界なめんなよ。」

と言われた気分になりました。

旅をしていると、その土地の世界遺産や美しい街並みを訪れ、地元の料理を食べたり、地酒を飲んだりします。

しかし、もう1つとても大切なことがあります。
それは『それらに対する人々の思い』です。

あるカナダ人は、ナイアガラの滝『カナダの誇り』と言っていました。
なぜなら、アメリカが戦争を仕掛けてきたときに、先祖が命がけでアメリカから守った土地だから。

中東オマーンの人は、ラマダン(断食)することを「イスラム教という以前に人として大切なこと。」と言います。
なぜなら、貧しくて満足に食事が食べられない人の気持ちに寄り添えるから

スウェーデン人は「高い税金に対してどう思うか?」という質問に
「そのおかげで、失敗しても何度でもやり直せるの。だって教育、医療が無料だから。」と笑顔で答えてくれました。

旅すると、いつも世界が教えてくれます。
「君の想像以上に世界は広い。」

旅するように生きる

旅に出ると、世界は想像以上に広い、ことを知ります。
それは、人は旅をしていると”アンテナが立つ”からだと思っています。

様々なものをキャッチしやすくなるんですよね。
それをあの時、ギリシャで教えてもらいました。

カナダ生活が慣れ始めた今になって、このことを書いてみようと思ったってことは世界が僕に言ってるのかもしれません。

「世界をなめるなよ。」って。

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