少年院

少年院を退院した僕だからわかる、彼らに必要なこと


16歳の3月。
自宅から車で10分ほどにある家庭裁判所で、僕は手錠と腰縄をつけられていた

ある事件で、2度目の逮捕をされた僕は1ヶ月間、鑑別所と言う、
犯罪を犯した可能性のある、少年少女が家庭裁判所から審判(裁判)を受ける前に犯罪の容疑について調べられたり、家庭環境や本人の更生への調査を調べる施設、という名の格子付きの場所に入り、その日を迎えた。

覚悟は決まっていた。

数年のお付き合いになる調査官の森野さんにも、
”今回は厳しい結果になる”と事前に聞かされていたし、自分がやってきたことを考えれば想像はついた。

時間が来ると、ドラマのように音を立て、格子が開き、逃げる気もない僕の前後を鑑別所の先生が挾み、裁判室へ行った。
僕が入った後、父と中学の担任の久保先生と生徒指導のすすむちゃんが入ってきた。
2人の先生は、修学旅行で僕と風呂に入り、ちょいとHな話をしたときと真逆の顔やったのを今でもはっきりと覚えている。

裁判は30分ほどだったように思うが、あの時の僕にはえらく長く感じた。

最後に、裁判官が言った。
「私は君に期待している。だからこそ、1人になって自分の人生を考えてきてほしい。あなたにはその力がある。新井博文を中等少年院送致とする。」

横に座る父の顔が見られなかった。

あるクラウドファンディング

2017年01月15日。
認定NPO法人「育て上げネット」が立ち上げたクラウドファンデイングが達成された。

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少年院から退院
子ども
安心
再チャレンジ
「みんなで」支えたい!!

長いタイトルの言葉すべてに納得した。
あの日の僕が必要としていたものやったから。

矯正教育に落ちこぼれなし

少年院での暮らしはほとんど知られていない。
それも、未成年は少年法によって裁かれており、少年法は犯罪を犯した少年少女の更生を最優先としているため、個人情報がかなり厳重に守られているからだ。

2015年に66年ぶりに少年法が改正されるまで、初等、中等、特別、医療という、犯罪傾向によって4つの分類があった。
2017年現在は初等と中等が同じになり第1種、犯罪傾向が進んでいる少年向けの特別が第2種、そして医療が第3種となった。

僕は中等少年院なので、第2・3種とは異なる箇所があると思うが、中での生活は3つの期間に分けられる。

【初期教育期 】入所〜2ヶ月 ※名前忘れた。
【中間期】〜出院1.5ヶ月前 
【出院準備期】〜出院  略して出準。

この中で、最も長い期間過ごす中間期で基本的には矯正教育を受ける。
矯正教育(少年院教育)に落ちこぼれなし。生い立ちを知ることから教育が始まる。
という言葉があるらしく、なんやかんや教育プログラム的なのを受けた。

とは言っても主には

農作業
運動
勉強もしくは内省

これらの時間が長い。

僕はこの中で内省が最も苦痛な時間やった。
椅子に座り、膝を揃え、足は直角に降ろし、背もたれは使わないし、もちろんうたた寝は許されない。
この座り方で、丸一日、長いときには一週間、寝る、食べる、排泄以外の時間を過ごす。

運動はスクワット3000回などで、終わったら生まれたての子鹿みたいになってるが、それよりも内省がきつかった。

恵まれた。まわりのサポートに

僕は恵まれた。
少年院の先生にはめっちゃくちゃ怒られたが、いろいろ話をしてくれたし、危険物取扱の免許を受講させてくれたり、優秀生しかなれない炊事班にも選んでもらえた。

そして、なにより家族の誰かが毎月面会に来てくれた。
実家からは少年院までは3時間かかるのに、父は月に一度は来てくれていた。
面会は平日しかできないので、今考えれば有給を毎月使ってくれていた。

その他にも、篤志家と呼ばれる宗教家の方と月に一度、2人きりでいろいろ話をする機会を与えてもらった。
神戸市の長田区で天理教を信仰されている恵比寿さんみたいな女性だった。

すべて共通していたのが、よく話を聞いてくれる。

ちなみに、同じ寮生にはかなりいじめられた。
一番年下でクソ生意気やったからそうなるわな。

あれだけ願ったのに

少年院生活で、1日も欠かさず思い描く日がある。
”退院する日”のことだ。
日々その来るべき日を思い、つらい内省や運動、農作業を過ごす。

僕は約1年4ヶ月の期間を少年院で過ごし、運命の退院日が決まった。
退院日は3日前に知らされる。

その日から1年4ヶ月の間、失っていた感情が僕を包んだ。

それは、以外にも”恐怖”だった。

社会に出たら、また犯罪を犯し、少年院に戻されるんじゃないかという思いが前提になり、そもそも”社会でうまくやっていけるのか”
恐怖が僕を包んでいた。

不安じゃない。
恐怖。

そうやって多くの少年少女は少年院を退院していく。
これが最も知られていない事実

”みんなで”支えていく

僕は多くの人たちのサポートが受け、ここまで来られた。
皆まで言わないが、退院後はなにもかもうまくいったわけではない。
それでも今、この場所にいられるのは周りのおかげ。

家族、保護司、友人、退院後迎えてくれた会社、先輩。
どれ1人欠けても、今の僕はない。

だから偉そうに言う。

”1人では立ち直れない”

クラウドファンデイングを立ち上げた”育て上げネット”さんがこう書いている。

「頑張れる力」の格差は応援する人の数と質で埋められます。

少年院を退院する日、家族が迎えに来ない場合もある。
僕は父が少年院内まで迎えに来てくれた
そして車に向かっていると、駐車場でたんぽぽを摘みながら待っていた、祖母と妹にどれだけ励まされたか

あの瞬間に最も、”頑張らないと”って意識した。

だから、

一緒に彼らを支えませんか。
ともにこの社会で生きる少年少女を。
彼らは支えを必要としています。
僕がそうだったように。

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コメント

    • 瀬戸少年院OB
    • 2018年 8月 24日

    一つ重大な間違いがあるので訂正願います。
    鑑別所は成人で例えるならば拘置所です。
    罪を犯していない子も収容されます。
    犯罪者ではなく容疑がかかっているだけです、
    被疑者ではなく容疑者です。
    ともて重大な間違いなので即刻訂正して下さい。
    完全に無罪で誤認逮捕された少年の気持ちになってあげてください。

      • araichan
      • 2018年 8月 24日

      ご指摘ありがとうございます。
      こちら修正しました。

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