トロント生活がはじまって2週間が経ちました。
夫婦共に無事に職にありつけ、ここからトロントニアンへの道のりが始まります。
そもそも”トロントニアン”とはトロントに住む人のことを言います。
だけど、やはり”住む”だけではなく身も心も文化もトロントニアンになりたい僕たちは、カナダ、そしてトロントを象徴するゲイタウンにあるゲイバーに行ってきました!
もちろん人生初!
それでは、人生初のゲイバー報告inトロントです。
”人種のるつぼ”と”モザイク”
世界最大の多人種が集まっているアメリカは、民族的特色をアメリカ色へ融合することから”人種のるつぼ”と呼ばれてる。
それに対しカナダは、お互いの出身地域の文化を尊重し、それを大切にしたまま、モザイクの一片一片のように共存しながら国を形成していることから”モザイク国家”と呼ばれている。
それもカナダの国としての方針であり、人種、民族、集団の共存が”多文化主義法”という法律によって保証されています。
その1つの集団がLGBTQ(L=レズビアン G=ゲイ B=バイセクシャル T=トランスジェンダー Q=クエッショニングorクィア)の人たち。
ちなみにカナダのケベック州は世界ではじめて性的指向による差別を法律で禁止した。
今では同性婚も国として認められている。
2017年4月。
日本ではじめて大阪市が同性カップルを「養育里親」に認定されたニュースが話題になったが、とっくの昔にカナダでは法律で認められています。
それに、カナダに入国する際必要なeTAの性別欄には”その他”がある。
男性でも女性でもないと思っていたり、わからない人たちもいる、ということを国が認めている。
横断歩道がレインボーの街
そんなカナダの中で、最大の人口を持つトロントは、北米のLGBTQ施策の牽引タウンとしてイケイケだ。
レズビアンを公言している女性が、トロントがあるオンタリオ州の首相であることも有名だが、なにより北米最大級のゲイビレッジ通称「ザ・ビレッジ」があることでも世界ではとっても有名。
ザ・ビレッジの位置は、ダウンタウンのすぐ横チャーチストリートとウェルズリーストリートの交差点を中心とした1,000㎠ほど。
街中にはLGBTQの尊厳と社会運動の象徴であるレインボーフラッグはもちろん、横断歩道もレインボー。
ストリートの標識もレインボー。
トロント中にある壁絵も、ゲイビレッジではレインボー。
驚いたのが、ゲイビレッジ内にある大企業の支店やショップもレインボーフラッグをかかげている。
カナダ五大銀行の1つBMO Bank of Montrealの入口にも。
THE BODY SHOPにも。
そしてスターバックスも。
人生初のゲイバーへ
そんなこんなで、レインボーが溢れるゲイビレッジにあるゲイバーへ人生初の入店をすることになった。
とは言っても、夫婦だけで行ったわけではない。
すでにトロントに住んでいるゲイのゆうちゃんと沖縄出身なのに群馬出身に間違えられたエリカと4人で行った。
2人はすでにトロントに住んでおり、ゆうちゃんの知人が僕の知人で紹介してくれた。
なにを隠そう、僕たちはこの日が初対面。
そんな僕たちの初夜に、ゲイバーへ行こうと僕たちが誘ったわけではなく、ゆうちゃんとエリカが普段飲む場所がゲイバーで、そこに僕たちが食いつき、誘ってくれた。
舞台となったのは、ゲイビレッジでもっとも有名なWoody’s。
入口では笑顔皆無のIDカードチェックを行い、いざ店内へ。
注目の第一印象は
店内広いな〜
男性めっちゃ多いな〜
店員さんめっちゃマッチョやん!!
カウンターが店内に4ヶ所あり、すべてのカウンターでお酒が買える。
バーテンダーはもちろん、向日葵が咲いたような笑顔のムキムキマッチョさん。
たまにボンジョビがかかるBGMの中、僕たちはゆうちゃんやエリカからトロント情報や2人の生き様、そして日本では見たことののないサイズの犬事情、ゲイ特有の仕草を聞き、僕たちもあけっぴろげに話し合った。
WashroomはWhichever
笑いの絶えない夜に欠かせないのはアルコール。
そのアルコールに欠かせないのがおトイレ。
向日葵の笑顔を持つ店員さんに場所を聞きトイレへ。
リスニング力に難ありの僕だが、さすがにベースメントにあることぐらいは理解し、店内唯一の地下への階段を降りたが、女性用らしきトイレはあるが男性用がどこを探してもない。
地下はシンプルな作りで、女性用トイレらしき部屋しかなく、手前にも奥にも向かいにも部屋はない。
こりゃ、場所を間違えたと階段へ向かおうとしたとき、トイレのドアが開き、中からこれまたマッチョで愛想抜群の見た目男性が出てきた。
「ほんまこの街は自由やな〜。」
ぐらいに思ったが改めてトイレの表札を見ると、女性だと思っていた描かれているマークの片側が風に吹かれてスカートの片方がない。
そして、その下にはwhichever(どちらでも)と書いてある。
風に吹かれてスカートが片方ないわけではなく、どなたでもオッケーなトイレだったわけ。
知識としてこのマークがあることを知ってはいたが、実際に使われているのを見たのは初めて。
中は、個室のみ3つほど。
晴天の霹靂と目から鱗が同時にやってきて、トイレをくまなく歩き回った。
クイーン登場で妻は最前列へ
8時頃からスタートした僕たち。
気づけば時計の針は12時近くになっていた。
楽しくて時間を忘れていたこともあるが、実は12時になるのを待っていた。
12時になるとドラァグクイーンによるショーがあるからだ。
時間が近くにつれショーお目当の人たちも入ってきて、店内はごった返している。
しかしなにか変。
そう、
ほとんど男性。
忘れてた〜!
ここはゲイバーやった〜。
と思った矢先、爆音のBGMとど派手はライトを背負った、超ド派手なドラァグクイーンがステージに現れ、ついにショーがはじまった!!
身長174cmしかない僕は、筋骨隆々で僕より背が高い人たちの隙間からショーを覗き見ようと必死。
しかし、気づけばさっきまで僕の隣にいたはずの妻がいない。
なんと妻は、今まで僕が見たことのない俊敏な動きで、すでに最前列を陣取っていた!!
筋骨隆々、マッスル、ムキムキマッチョな人たちに囲まれながら、どっからどう見ても楽しそうにしてる女性。
95%が男性なので、えらく目立つ女性。
それが、僕の妻だった。
それにしても、ショーはエンターテイメント性に溢れていてめちゃくちゃ楽しい。
2人のドラァグクイーンが入れ替わり立ち替り妖艶なダンスを披露してくれる。
相変わらず妻は最前列で楽しんでいたときエリカが
「気をつけてね〜。」
と言ってきたので
「だいじょうぶ大丈夫!!僕から妻は見えてるから。」
と返すと
「いやいや、あらいちゃんね。ここゲイバーだから。」
と言われ、ふっっと周りを見渡した。
僕は脳天からつま先までゾワっとする生暖かい視線を感じた。
その瞬間、普段はほったらかし政策の妻を心配してあげてるかのごとく、寄り添いに行きました。
数名の男性が、あまりに優しい笑顔で僕を見ていました。
シメはピザで
ひとしきり楽しんだ僕たちは、シメのラーメンならぬ、北米特有の”シメのピザ”を並んで買い、頬張った。
僕たちにとっての、初のゲイバー体験はいくつもの発見があった。
- トロントではレズビアンもゲイと呼ぶことがあり、ここはゲイだけの街ではない。
- 生暖かい視線にはお付き合いしない
- ゲイのマッチョは別次元のマッチョ
- 観光、冷やかしで行く場所ではない
- ドラァグクイーンは薬の”drug”ではなく、引きづる”drag”のスペルで、衣装を引きづるほど派手な姿をしている、という意味らしい
- シメのピザはまさかの締まりヨシ!
というわけで、刺激的で素敵な出会いに溢れた夜は無事楽しく更けていきました。
7月にはこの街で世界最大級のプライドパレード(レインボーパレード)も開催される。
このパレートにはカナダのトルドー首相も3年連続で参加されている。
僕たちはゆうちゃんたちとこのパレードに参加することを約束し解散した。
トロントへ来た際は是非ゲイビレッジに足を運んでくださいな。